保証人とは
保証人とは、主たる債務者が債務を履行しないとき、債務者に代わって債務を履行する責任を負う人をいいます。
一口に保証人といっても、通常保証人や連帯保証人、根保証人、物上保証人というような種類があります。いずれも債権者から債務者への債権等を保証するものですが、保証内容に違いがあります。
ここでは、分かりやすいように債権者が債務者にお金を貸しており、保証人が債務(借金)を保証しているとします。
なお、保証人は複数いても良いですし、個人でも法人でも良いです。誰が保証人になるのかは、基本的に債権者と債務者の話し合いになりますが、債権者側が決めることが多いです。
なお、未成年者などの保証意思がない人は保証人として不適格ですし、債権者としても保証債務を履行できない保証人は不要であると考えます。
通常保証人
通常保証人とは、債務者がどうしても借金を返済できないときに、代わりに返済する義務を負います。
通常保証人には、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益があります。
催告の抗弁権とは、債権者に対し『先に債務者から借金を取り立ててください』と主張することが出来る権利です。
検索の抗弁権とは、債権者に対し『債務者には返済するだけの財産があるから、債務者から借金を取り立ててください』と主張することが出来る権利です。なお、債務者に財産があるかどうかは保証人が証明しなければなりません。
分別の利益とは、債権者に対し『保証人が複数人いるんだから、頭割りした分だけ代わりに返済します』と主張することが出来る権利です。例えば、債務者が300万円の借金をしており、保証人が3人いれば、各保証人は100万円ずつ返済すれば良いのです。
連帯保証人
一般的に債権者から求められる保証人は、連帯保証人のことです。
通常保証人と異なり、催告の抗弁権や検索の抗弁権、分別の利益はありません。よって、債権者から借金の取り立てがあれば、債務者の財産や保証人の人数に関わらず、債務者が払うべき金額を支払わなければなりません。
もはや連帯保証人は、借金をしていないにも関わらず、債務者になるようなものです。「保証人になるな」と教えられたこともあるかもしれませんが、理由は上記の通りです。
しかし多くの場合、債権者から借入をするときは、連帯保証人をつけることが条件となっています。
根保証人
根保証人は、あらかじめ定めておいた限度額(極度額)までの債務を保証するものです。
例えば、債務者が何回も借入と返済を繰り返す場合、借入のたびに保証人に署名捺印を貰うことは、債権者・債務者・保証人のいずれからしても面倒なことです。そこで、あらかじめ極度額を定めておき、保証契約を1回で済ませるのです。
個人が根保証人になる場合は、極度額と元本確定期日を定めなければなりません。
元本確定期日を定めていなかった場合は、3年で元本が確定します。また、元本確定期日を定める場合でも、最長は5年となります。ほかに、債務者や保証人が死亡したときや、保証人が破産手続開始決定を受けたときなどに元本が確定します。元本確定期日時点で債務者が負っていた負債を保証することになります。
極度額や元本確定期日がなければ、個人の根保証人は、負担すべき保証金額がどれくらいになるかがずっと分からないことになり、不安になりますので、こういったルールが定められました。
物上保証人
物上保証人とは、モノを担保に入れることにより、保証人となるものです。
例えば、AさんがBさんにお金を貸したとしましょう。Aさんは債権者、Bさんが債務者となります。Aさんは貸したお金がきちんと返済されるように、担保をいれることをBさんに要求しました。そこで、Bさんの配偶者であるCさんが、Cさん名義の不動産を担保にいれることとなりました。
この場合、Cさんが物上保証人になります。もしBさんがAさんに返済しなければ、Cさん名義の不動産を担保権実行することにより売却して、売却代金から返済を受けることになります。
物上保証人は、最悪の場合、担保にいれたモノがなくなるだけですので、連帯保証人に比べて気が楽になることでしょう(ただし、通常の保証人や連帯保証人を兼ねていない場合のみ)。
なお、担保に入れることが出来るモノは、不動産のほか、定期預金や株式、自動車、売掛債権などがあります。
保証人が保証を履行したら
本来なら、債務者が債権者にお金を返すべきですが、代わりに保証人が返済することもあります。その場合、保証人は債務者に対する求償権が認められます。
つまり、債務者は保証人にお金を返さなければなりません。
まとめ
・保証人には種類があります。
・一般的には、債権者から連帯保証人を求められることが多いですが、連帯保証人は実質的に債務者と同じような返済義務があります。
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