内部留保とは
「内部留保」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
内部留保とは、事業で獲得した純利益から配当金を除いたもので、事業者に蓄積される資金のことを指します。配当金が多額でない限り、黒字決算を続けていくことにより内部留保が増えていきます。
決算書上では、繰越利益剰余金として表されることもあります。厳密には内部留保と繰越利益剰余金は異なるのですが、ほぼ同じ意味合いで考えて貰って大丈夫です。
たまに勘違いされている方がいらっしゃるのですが、『内部留保が多い=現預金が多い』ではありません。内部留保を減らし、従業員の賃上げに回すべき、という意見も見受けられますが、簡単にはいかないのです。
事業者が利益を出す、繰越利益剰余金に計上されることになります。では、その利益はずっと現預金でプールしておくのかというと、そうではありません。
発生した利益で新たな設備を購入したり、新たな人材の確保などを行いますので、現預金が残っていないケースもよくあります。もちろん、この利益で従業員に臨時ボーナスや賃上げを行うこともあります。
金融機関の職員や経営アドバイザーなどは、決算書の貸借対照表のうち、自己資本の部(繰越利益剰余金)を確認します。繰越利益剰余金は、その企業の設立時から直近決算期までの積み重ねてきた利益が記載されますので、経営の安定性や収益性などの判断材料になります。
なお、繰越利益剰余金がマイナスになることもあります。資本金や資本準備金などの自己資本の部トータルでマイナスの場合は、債務超過という状態になっており、金融機関からの資金調達が難しい場合があります(しっかり準備すれば借入が出来る可能性もあります)。