「借入にあたってどんなものが担保に出来る?」
金融機関から借入をする際に、担保を入れなければならないことがあります。融資条件として担保提供を求められることもありますし、融資申請の段階で借入人のほうから担保提供の意思を示すこともあります。
では、どんなものが担保となるのでしょうか?
担保として挙げられる主なものは、定期預金・定期積金、不動産、売掛金、動産、株式などがあります。
定期預金・定期積金は担保としてメジャーなものです。定期預金は、金融機関にある程度まとまったお金を預けるものであり、ルール上は満期まで解約することが出来ません(が、解約することは出来ます)。定期積金は、毎月一定の金額を積み立てていくもので、定期預金と同じく積立中に解約することを前提としていません。
定期預金・定期積金を担保に入れると、基本的に解約することが出来なくなります。よって、余剰資金で定期預金・定期積金を作成し、担保に入れることになります。
定期預金・定期積金を担保に入れることにより、融資金額が増える可能性があがります。ある程度の預金額をキープしつつ、多額の借入をしたい場合は、定期預金・定期積金を担保に入れることが多いです。
なお、融資金で定期預金・定期積金を作成することは歩積両建(ぶづみりょうだて)と言い、禁止されています。そもそも、基本的には定期預金(定期積金)の金利は借入金の金利よりも低いため、差額の金利を金融機関に支払っていくだけになります。
不動産も担保としてメジャーなものです。不動産は価値が高く、定期預金を担保に入れるよりも多額の融資を受けることが出来るでしょう。しかし、どのような不動産でも担保にいれることが出来るわけではありません。
不動産を担保にいれて融資を受けたとして、もし融資金の返済が出来なければ、金融機関は担保権を実行して不動産を売却することになります。よって、金融機関はしっかり売却できる不動産を担保に取ります。逆に言えば、価値のない不動産、流通性のない不動産、法令違反の不動産などの処分性がない不動産は担保に取りません。
例えば、田舎の森林や老朽化した空き家、前面道路や間口が狭い不動産、建蔽率や容積率がオーバーした違法物件などは担保として不適格です。
不動産購入資金として融資を受ける場合は、その不動産の担保価値を見て融資金額や融資内容を定め、その不動産を担保に入れることを条件に融資します。アパートローンや住宅ローンがこれに当てはまります。
また、運転資金を融資する際にも、万が一の回収リスクを鑑み、自宅や工場などの不動産を担保とするケースもあります。
不動産を担保に入れるときは、一般的には抵当権か根抵当権を設定します。これについてはコチラをご覧ください。
債権、特に売掛金を担保に入れる場合もあります。売掛金とは、取引先からの売上未収金ですので、いずれ入金があります。その売掛金も担保として扱う金融機関もあります。
金融機関としては、継続的に同じ取引先に対して売掛金が発生する場合のみ担保としていることが多いです。過去の売掛実績を見て、担保余力を判断するのです。ただし、信用不安のある会社への売掛金は担保と出来ないこともあります。売掛金が問題なく支払われるか分からないからです。
売掛金が継続して発生する場合は、取引先と契約を締結することが一般的ですが、契約内容に『譲渡禁止特約』が定められている場合もあります。基本的には売掛金を含む債権は自由に売買や譲渡が出来ますが、契約でそれを禁止することも出来ます。譲渡禁止特約が付いている売掛金も担保としては見ることが出来ません。
動産は非常に多くの種類がありますが、担保として見れるかどうかは金融機関の判断によるところが大きいです。担保として判断される例として、自動車や機械装置などがあります。動産担保で融資を受けることは多くはないものの、対応してくれる金融機関はあります。
動産としての価値を判定することが難しいため、事業者が思っている価値と金融機関が思っている価値が大きくかけ離れていることもあります。
株式も担保に入れることが出来ます。担保に入れる株式は、基本的に上場している会社の株式です。ただ、毎日時価が変わりますので、融資金額よりも多額の株式を担保提供したり、担保提供している株式の株価が大幅に下落したり上場廃止となった場合は、追加で担保を入れたり、借入金の返済を迫られるケースが多いです。
以上のように、担保にいれることが出来るものは多くあります。しかし、その担保を認めてくれるかは金融機関によりますので、事業者が思っているようなスキームで融資を受けることが出来るとは限りません。
担保を提供することにより、借入の条件交渉は可能です。例えば、「不動産を担保に入れるから、融資金額を1,000万円増額してほしい」などがあります。
最後に、担保であるからには、融資返済が滞れば、その担保物を手放すことになりかねません。本当に担保に入れて良いものかどうかをしっかり判断し、借入をする必要があります。